テーマ探しから
設計提案の発表まで、
創造のプロセスを体験
宇野研究室の卒業設計は、まず各自がテーマを探し、建築に必要な敷地と建てる意味を考えることから始まります。続いて、建築デザインの発想トレーニングとして、テーマを決めてスケッチを描き、わずか10㎝角のスペースにその模型をつくります。ある程度計画がまとまってきた段階には国内外で活躍する著名な建築家を招き講評してもらいます。最後には多くの人の前で設計提案を発表するわけですが、そこまでの葛藤、創造する苦しさはプロの建築家になっても続きます。建築とは常に新しい発見であり、気づきであることが、学生たちはわかってくるのです。
今、地震の活動期に入っており、各地で頻繁に地震が発生しています。こうしたとき、体育館など避難に利用される空間の耐震性が問われます。研究室では「空間デザイン」をテーマにしており、デザインに関わる構造や地震時などの被害について構造の面から考えます。また「このようなデザインをつくりたいが構造はどうするのか」といった問題について解決へ方向性を導きます。逆に言うと、構造の形によって建築デザインが変わる、という数少ない可能性にチャレンジする姿勢を学生たちに示したいと思っています。
安全な鉄筋コンクリート
構造の
ために、崩壊の
現場を知る
研究室では、実際に1トンあるコンクリートの柱を建てたり、横にしたり、壊したりします。そんな時、危険を感じたら、たとえ相手が上司であれ、先生であれ、臆することなく言う。鉄筋コンクリート造の建設現場の安全管理を肌で知ることができます。また、壊れ方を知っていることで、壊れないモノづくりも理解できます。また地震があったときには実際に被害地の調査に出かけることも。建築の現場、真逆の崩壊の現場をつぶさに知ることを、学生たちは安全・安心な壊れない鉄筋コンクリートの建物づくりに活かしています。
モノ、コト、場所、人を、
建築でつなげ
未来のスタンダードを
創造する
建築によってモノ、コト、場所、人を関係づけることで多彩な物語が生まれ、生態系のようにそれらがつながった環境をつくりだすことを研究テーマとしています。住宅、ランドスケープ、商店街、メタバースなど様々なテーマに関心のある学生が集まって勉強を進めています。卒業後は例えば商店街の活性化を研究している学生だったら、商店街に入り込んでまちづくりなどに関わりながら設計事務所を運営していくような働き方ができるといいですね。自分の個性に合ったおもしろい人生を歩んでほしいと思っています。
1/1スケールで、
身近な空間から建築まで
考える力を養う
中島研究室では、「1/1で考えること」を標榜し、建築・インテリアのコンペや国際芸術祭への参加、舞台やリノベーションのプロジェクトなど様々な取り組みを展開しています。例年参加している「美濃和紙あかりアート展」では、2021年に出展した作品が大賞を受賞するなど、着実な成果を挙げています。また一方で、劇場会議のフォーラムに参加し、劇場をめぐるソフトとハードの両面から専門家と議論を交える機会を設けています。多彩な活動を通じて、家具や身近な空間から、たくさんの人々が集まる場所まで、フルスケールで考える力を養っています。
木材やコンクリートなどの
材料が持つ性能・機能を
解明
主に、建築物に使われるコンクリートがどのような状態にあり、今後どのくらい使えるのかを調査・評価する方法を研究しています。材料の正確な状態や安全に使用できる期間がわかれば、適切なメンテナンスによって、その機能と美観を維持可能です。研究対象は、竹、紙、土など、木材やコンクリートに限らず様々ですが、研究のプロセスを計画するのはすべて学生たちです。研究活動の結果から、社会への新しい提案をすることが目標のひとつですが、単純に「おもしろい」と思ったことをとことん追求して、研究に取り組むのも大切だと考えています。
建築家は、これまで社会からはエンジニアとして見られがちでした。しかし、今や社会が多様化し、建築というジャンルを通して、様々な問いかけや解決法を提示できる時代になっています。あらかじめ与えられた問いの答えだけを出せばいいのではなく、様々な角度から答えが出せるという力が必要です。また、現代は働き方も多様化し、転職も当たり前です。その時に大切なのは、どのような課題にも対応ができる「応用力」です。「これしかできません」では通用しないという問題意識を持って学生生活を送ってほしいと考えています。
人々が共有できる
価値観を発見し、
空間をデザインする
建築設計・インテリア設計・空間デザインを研究テーマとしています。感性と理論のバランスを重視し、自身と他者の感覚を理解した上で、人々が共感できる新たな価値観を発見・創出することを⼤切にしています。研究内容には①概念系②思想系③調査系④手法系⑤原寸系⑥論文系などがあり、学生自身が自分ごととして捉えられる課題を自ら選択し研究テーマとします。また、研究に向けて、互いに努力・協力できる人材をめざすことで、インテリアや建築業務に携わる際に必要となる⾃⼰理解・他者理解能⼒を育みます。
光環境がテーマです。例えば目が疲れにくい光環境、見つけやすいサインに関する研究。あるいはシミュレーションやVRを使って光環境を評価することなどに取り組んでいます。研究室の学生も、配属された直後は論文やデータなど分からないことだらけですが、次第に論理的に自分なりの考えを発表できるようになります。さらに私としては、環境について、まだまだたくさんある解明されていない部分に、「なぜ」と目を向け、その背景や原因を探ってほしい。その気づきは必ず社会や仕事で活かすことができるはずです。
スペイン帝国の軍事建築と
都市 城下町の研究
近代建築
における伝統性
スペインが帝国として領土を拡張していった近世の時代、軍事革命が起こりました。この革命によって西洋では都市が大きく変貌します。スペインは新大陸の植民都市を含め地政学的に重要な都市の要塞化事業を進めます。その事業を担っていたのが「工兵」でした。工兵の出現は近世国家の誕生と付随します。工兵の活動を系譜的に分析することによって世界史と連動していたスペインの要塞化事業の歴史を描き出す研究を行っています。その他、日本の城下町に関しても古図の分析に基づいた研究をゼミ生が中心になって進めています。近代建築に関しても、その中に息づいている伝統性の表現に焦点を置いた分析に取り組んでおります。
音に対する人間の反応は、周波数や音圧レベルなど物理的な音響要因と関係があることはもちろんですが、音の出し手に対する態度、個人の感受性など、社会的・心理的な要因が大きく寄与します。森長研究室では、それらの要因を可能な限り定式化し、社会ー音ー人間システムを構造化することに取り組みます。
単に出てきた音の問題をもぐら叩きのように抑えるのではなく、なぜその音がその人にとって問題であったのか、なぜこの社会ではこの音が好まれる音なのか、など、社会や人間との繋がりの中で音の問題を捉える学際的な視野を必要とする点が、この研究の一番の魅力です。
SDGsの考えのもと、
においに関する
社会課題に取り組む
SDGsでは、持続的な社会の実現を目指して様々な目標を定めています。このSDGsの考え方に沿って、トイレや玄関、靴箱、ゴミ箱などの悪臭発生源に対して、身の回りのモノの中から消脱臭できるものを見つけて、実生活で使えるものを創出する研究があります。例えば、ゴミとして捨てる前に消脱臭に使えないかを検討すること、精油を抽出する素材に未利用自然素材や食品残渣を活用することを目指しています。捨てる前に一工夫したり、脱臭に使えないかと考えたりするのも立派なSDGs。においに関する社会の問題解決に取り組める人材が育っています。
においに関する評価法の検討と、高齢者施設や病院などのにおいレベルについて実態を測定。また、においの1分間の発生量を求めて、適切な換気や空気清浄機の風量を計算するなどの研究をしています。空間中のにおいを数値化するというのが研究室の特色です。この研究室で収集した不快を与えないにおいの基準値のデータは日本建築学会基準にも採用されています。また、悪臭を新たなかおりに変える感覚的消臭についても研究しています。においを数値化し、悪臭対策とかおりの活用を考え、よりよい環境作りに貢献できる人材を育成しています。
においやかおりによる
生理・心理反応を、
実経験をもとに検証
人を取り巻くにおい・かおりと人の生理・心理反応を研究テーマにします。におい・かおりの効果が暑熱緩和に役立つのか、あるいはかおりが騒音を軽減するのか、においによって視覚情報が混乱するのかなど、自らの実経験を研究テーマに応用発展していきます。心理反応を応用して、保育環境やメンタルケアの場面においての効果についても発展させたいと考えています。日常であたりまえのように感じている自らの感覚器を研ぎ澄まし、かおりの豊かさに気づき、適切なかおり環境を創造できる人材の育成を目指します。
研究室では都市計画や交通計画が研究対象となります。以前、学生自らが発案した研究テーマとして、「ペットと共存する環境」とか、「カラーユニバーサルデザインを考慮したサイン」といった研究がありました。さらに、いろいろな自治体から駅前広場や生活道路の設計依頼があります。嶋田研究室では、空間を設計したうえ、駅前広場に出入りする人やクルマの流れのシミュレーションなども行います。劣化が進む公共的空間を、利用する人の立場になって再生していく。「街の再生」、それは誇りを持って取り組める仕事です。
鷲見研究室では、実際に川や湧水など水のある空間に出かけて現地調査をします。みんなで現地に行きますが、生き物の環境を考える、水害対策を考えるなど、研究テーマはそれぞれ異なります。このような現地調査を通じて身につけた段取りや準備の手順は、実際に例えば公務員として河川管理などの仕事に就いたとき、効率的に作業を進めることができるのだとか。最近は「滝」の調査研究にも取り組んでいます。滝がもたらす涼しさを科学的に実験・分析して、実際の都市空間計画などに活かしたいと考えています。
地下水環境の改善や、
インフラ整備における
ICT施工を学ぶ
棚橋研究室では、市民生活を守るため、地下水環境の修復について研究しています。汚染の原因となる物質が違えば、浄化方法も変わります。中でも機械油の浄化が最も困難とされています。現在は学生や企業と一緒に、工場などの地下にある油で汚れた土を掘り出さなくても浄化できる技術を研究しています。実験装置は学生自身がつくります。機械いじりや工作が好きな人は楽しいと思います。また最近、急速に普及してきたインフラ整備におけるICT施工について学ぶこともできます。
誰もが安心・安全に移動して、生活できる都市空間づくりのための研究をしています。例えば、増加する高齢者の交通事故については高齢ドライバーの運転時の視点移動をVRで評価して交差点の改良につなげたり、バスの利用実態調査やバリアフリー点検などを行ったりしています。私たちは都市空間全体がフィールドです。どの様にしたら安心して生活できる都市になるのか、住民や行政と一緒に考えていきます。学生たちには積極的にまちに出かけ、問題を発見する力や論理的に伝えられる力を修得してほしいですね。
高強度や高耐久性を有する鋼材で構成される高性能土木構造物の実現化が期待されています。これに向けて、従来の普通鋼に加え、高強度鋼や高耐久性鋼で構成される構造物の強度特性を実験と解析により明らかにし、その設計法を開発することに取り組んでいます。我が国における自然災害から生命と財産を守ることに直結する研究内容であり、新材料の活用や高性能土木構造物の実現に貢献することを目指しています。
構造物の非破壊検査に取り組んでいます。構造物の表面に「聴診器」のようなものを当ててひずみを計測する手法や,表面を軽く打撃して波動を計測し内部を可視化する手法などに取り組んでいます。また卒業研究では,土木の歴史に関する調査にも取り組んでいます。